執筆者:
「獅子舞なんて、どの地域も同じでしょ?」もし、そう思っている方がいたら、それは非常にもったいないことかも知れません。
一見するとどれも同じように見えるかも知れない獅子舞ですが、実は地域によってそのスタイルは驚くほど多様です。
多くの地域では、地面を舞台に力強く踏みしめて舞うスタイルがおなじみの光景ですが、地元の獅子舞はちょっと違う・・・
私の地元・丸亀市中府町(丸亀城の西側に位置する小さなまち)にある「中府三軒家六段獅子保存会」。梯子を登り、だんじりの屋根の上で舞うスタイルで迫力満点です。他にはない、珍しい舞方なんだそうです。
他を見て初めてそのカッコ良さに気づかされた、中府三軒家六段獅子保存会だけの唯一無二の魅力に迫ります!
もくじ
知れば知るほど奥が深い!全国に誇れる獅子舞文化
実は、香川県は「讃岐獅子舞王国」と呼ばれているのをご存知ですか。

「数の多さ」「バリエーションの豊かさ」「地域への溶け込み方」が、他県を圧倒するほど桁違いです。そのため、全国屈指の獅子舞王国として知られています。
実は日本屈指の獅子舞王国!圧倒的な獅子組の多さ
香川県内には、現在でも1,000組近い「獅子組」が存在していると言われています。これは、日本一小さな県である香川県の面積や、人口に対して異常に高い密度です。
秋祭りのシーズンになると、県内のあちらこちらで鉦や太鼓の音が聞こえてきます。
地域に伝わる多様な獅子舞スタイル
讃岐の獅子舞は、一つの獅子組が「親獅子(大きな獅子)」と「子獅子(小さな獅子)」を同時に出し、掛け合いながら舞う「親子獅子」というスタイルが多く見られます。
地域によって特徴が異なるのも面白いポイントです。

毛並みの違い・・・赤い油単(獅子の体にあたる布)に黒い毛の「黒毛獅子」、緑の毛の「牡丹獅子」、「猫獅子」と呼ばれる小ぶりでユーモラスな舞をするものまであります。
鉦と太鼓の音色・・・激しく打ち鳴らす地域もあれば、優雅に響かせる地域もあり、地域によって全く違う獅子舞のスタイルが確立されています。
多くのエリアは「地面」が舞台。じゃあ、地元は・・・?
獅子舞といえば、地面を力強く踏みしめ、鉦や太鼓の音に合わせて優雅に舞うスタイルが、多くのエリアで確立されています。
私がそのスタイルの獅子舞を見たのは、実は大人になってからでした。
幼い頃から観てきた獅子舞とはなんか違う。いや、ずいぶん違う。
だんじりに立てかけた梯子を登り、だんじりの屋根の上で舞う地元の獅子舞って、もしかしてすごくアクロバティックなのでは?と。
他を知って、地元の獅子舞の凄さに気がついたのです。
毎年当たり前のように観てきた獅子舞って、もしかしてめちゃくちゃカッコいいのかも!!!と。

「中府三軒家六段獅子保存会」を詳しくご紹介!

今から去る190年前、江戸天保年間のころ
菅原道真公を奉った会下天満宮の秋祭りの際に、祭りの先立ちとして
参道を3台の山車の上に獅子が舞登り
五穀豊穣、厄払いを祈願し、お旅所まで祓い清めながら荘厳に
巡行する獅子の姿をあらわしたもので
「中府三軒家六段獅子」はそのうちの一頭の奉納獅子である

「中府三軒家六段獅子保存会」圧巻の獅子舞スタイル
丸亀市中府町に伝わる伝統的な獅子組、中府三軒家六段獅子保存会。
他とは一線を画す圧倒的な激しさと躍動感が特徴です。

3頭の獅子(夫婦獅子+子獅子)が、だんじりに立てかけた梯子を登りながら、息ぴったりの舞を披露します。

高さ2.5Mのだんじりの屋根の上で舞う姿は、圧巻の一言で観る者を魅了します。

だんじりの上で魅せるのは、1頭だけではありません。3頭の獅子が屋根の上に登り、丸亀の空を背景に激しく入り乱れます。


3頭の獅子が息を合わせ、時には仲間を飛び越えるような技巧を繰り出す姿は、さまに手に汗握るスリリングな乱舞です。

ただ激しいだけでなく、一糸乱れぬチームワークも注目ポイントです。
ほとんど練習することなく、ほぼぶっつけ本番の状態というのですから驚きです。代々受け継がれている【六段獅子魂】というのが、あるのかも知れません。
天保年間から受け継がれてきた伝統

中府三軒家六段獅子保存会の真の凄みは、天保年間(江戸時代)から脈々と受け継がれてきた本物の伝統である、という点です。

お祭りの枠を超えた圧倒的なスケール感。天へ向かって爆発するような生命力と野生的な咆哮が、この獅子組の最大の異彩であり魅力です。
大切に未来に繋げたいからこそ、乗り越えたい課題
天保年間から受け継いできた大切なバトンを未来に繋げるためには、いくつかの課題もあります。
数年前にリニューアルをしただんじりは、飾り彫りをしている部分は引き継いで使用しているものの、約400~500万円の費用がかかったそうです。

獅子頭や油単は、ダイナミックな舞をするため損傷が激しい部分もあり、補修をしながら使用しているのだとか。

また、獅子組の運営は地域の青年団が主体となって運営していますが、獅子の使い手(30代の男性中心)が不足していることも課題のひとつ。
「資金面・後継者」どの分野でも直面することが多い問題だと思います。
天保年間から続く歴史ある獅子舞を、未来に繋ぐためには乗り越えたい課題です。
丸亀市中府町にはあと2つの獅子組があります!
小さなまち、中府町には中府三軒家六段獅子保存会の他に、2つの獅子組があります。歴史が古く、それぞれに強い個性と高い技術を持った魅力的な獅子組です。
中府北部獅子連(なかぶほくぶししれん)

赤・紫・緑の3頭の獅子が、息をぴったり合わせて舞う姿が最大の見所です。次第に激しくなる鉦や太鼓の音色に合わせ、鳴り物台の上に登り、空に向かって吠えるような力強くダイナミックな演舞を披露します。

中府南部四魂神夫婦獅子(なかぶなんぶしこんじんめおとしし)

「四魂神夫婦獅子」の名が表すように、4頭の獅子による華やかな舞が見どころです。変化に富んだストーリー性のあるドラマチックで優雅な舞が最大の特徴です。

中府三軒家六段獅子保存会の演舞はココでチェック!

中府三軒家六段獅子保存会の獅子舞演舞は、地元の神社の秋の例大祭や丸亀お城まつりなどで見ることができます。
迫力のある演舞をぜひチェックしてください!
ホームグラウンド「会下天満神社」秋季例大祭で奉納獅子
毎年秋に開催される、中府町の「会下天満神社(会下天満宮)」の秋季例大祭で、奉納獅子を披露します。3つの獅子組が集結するので迫力満点!
時期:毎年10月17日に近い土曜日・日曜日に開催(獅子舞奉納は日曜日)
会下天満神社の秋季例大祭では、お神輿と3つの獅子組が日曜日の13時に神社を出発して町中を巡ります。
神社を出発する前に、獅子組は奉納獅子を舞います。正午頃に神社に向かうと3組の演舞を見る事ができますよ。

奉納獅子は他で舞う演舞とは少し違うので、ぜひ神社で楽しんでください!
丸亀駅からは徒歩15分ほどです。神社近くに駐車場はありません。徒歩、または自転車で向かうことがおすすめです。

鉦や太鼓のを軽快に鳴らして宮入り(獅子組が神社に向かうこと)をするので、そちらも合わせて楽しむのがおすすめです。
丸亀お城まつり「獅子舞競演」で、伝統ある獅子組を一気見!
丸亀お城まつりの「獅子舞競演」では、丸亀市内外から多く獅子組が集結し、一斉に演舞を披露します。

地域ごとに異なる鉦や太鼓のリズム、鮮やかな油単やダイナミックな舞の違いを間近で体感できる貴重な機会です。


中府三軒家六段獅子保存会も毎年演舞しています。圧巻の舞をぜひ体感してください!
