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今から20年前、友達と一緒に遊ぶといえば外で運動したりすごろくやトランプなど皆で集まって楽しむものが多かったと思います。
しかし、現代ではインターネットの普及により直接会わなくても手軽に遊べるゲームが主流となり、人との交流も少なくなってきました。
そんな時代に、ボードゲームを通じて家族間のふれあいやコミュニティづくりを目指す市民団体があります。
今回は、丸亀市を中心に活動するさぬきファミリーゲーム倶楽部で会長を務める林賢治さんにお話を伺いました。

林賢治さんプロフィール
市民団体「さぬきファミリーゲーム倶楽部」の会長。
本職のパン屋を営みながら、ボードゲームの楽しさを広めるための活動を行っている。
また、実家では桃の生産やジャムの製造を手伝っている。
活動を始めた経緯
——ボードゲームの楽しさを広めようと思ったきっかけを教えてください。
【林さん】
ボードゲームの面白さを最初に伝えようと思ったのは、学童に置いてあるボードゲームの遊び方が分からないという話を聞いた時です。
私自身ボードゲームが好きでよく買ったりするのですが、なかなか遊ぶ機会に恵まれず棚の上に置いたままになっていることがよくありました。
それなら、子供たちのいるところで活用することは出来ないかと考え、私の方から遊び方を教えますと連絡をしました。
それから何度も通っていくうちに子供たちも楽しみにしてくれて「次はいつ来てくれるの?」と言ってくれることも増えていきました。

夏休みなどの長いお休みに入るとボードゲームの需要も高く、日によっては200人近くの子供たちを相手にすることもあります。
元気のある子供たちのパワーに圧倒されることもありますが、実際に触れて楽しむ姿を見ていると、あの時声を掛けて良かったと今でも思います。
ボードゲームの魅力
——林さんから見たボードゲームの魅力とは何ですか?
【林さん】
一番の魅力は、コミュニケーションツールとしてすごく強いところです。
私たちの活動の中に、大人の方にも楽しんでもらおうと平日の夜にボードゲームで遊ぶ会を定期的に開催しています。

参加してくれる方は、年齢や性別が違えば性格もさまざま。
初めましての方もいらっしゃいますので、最初は会話をするのでさえ戸惑ってしまう人もいるかもしれません。
けれど、ボードゲームが一つあれば参加者の距離を大きく縮めてくれます。
同じゲームをするだけでも「一緒に遊んだ人」という共通事項が出来上がり、そこからお互いの趣味や生活のことなどで話題が広がっていくことがあります。
特にルールが簡単なゲームはすぐに盛り上がれるので、緊張をほぐして喜んでもらうのに打ってつけです。
直接触れて顔を見て、笑い合える空間が作れるのはデジタルにはない強みだと思っているので、これからもこの時間を大切にしていきたいですね。
ボードゲームを「作る」
——他にも活動されていることはありますか?
【林さん】
もう一つの活動として、ボードゲームの製作があります。
以前からボードゲームを作ってみたいという想いと、地元で何か貢献したいという気持ちはありました。
そのことを市役所の人に相談をしたら「事業としてプレゼンをしてみてはどうでしょうか?」という話を受け、自分たちで企画をすることになります。
そうして出来上がったのが『ISHIGAKI』というボードゲームです。
石を1箇所に集めて石垣というブロックを作り、それを中央の台に置くことで得点のカードをもらって点数を競うゲームになっています。

2018年に起きた台風による石垣の崩落事故からアイデアを受けて、それをボードゲームという形で地域の人にも親しんでもらおうと2020年から製作が始まりました。
しかし、製作の途中でコロナが流行してしまい、思うようにテストプレイが出来ず細かい調整が難しくなってしまいます。
それでも1年の時間をかけて完成させ、市内の小・中学校に置いたり丸亀市のふるさと納税の返礼品として取り扱ってもらいました。
その後、返礼品は全て配布することが出来たと聞いて、頑張って作った甲斐があったと実感しています。
今後は、第二弾の制作や丸亀城の売店に置かせてもらえるように出来たらいいなと考えています。
これからについて
——今後の活動について何か決まっていることなどはありますか?
現在、私以外にメンバーが3人在籍しており、それぞれがボードゲームを遊ぶ場所の提供やイベントの企画などを定期的に行っています。
人手が必要な時は集まって互いに知恵を出して協力しているので、今後もメンバーと一緒にボードゲームを楽しめる空間を作っていけたらと思います。

今は丸亀市を中心に活動をしていますが、もし機会があれば東の方や県外でもボードゲーム会をやってみたいと考えています。
私の活動が、皆さんの家族や友達との交流を深めるきっかけになってくれたら嬉しい限りです。