標高422mの『飯野山』で体験する、世界一温かい登山のカタチ。

讃岐富士

執筆者:まるきゅん

香川県丸亀市を訪れると、どこからでもその姿を望むことができる美しい円錐形の山があります。標高422m、その見事な山容から「讃岐富士」の名で親しまれる飯野山です。

2026年7月18日(土)。午前9時30分、すでに気温は30度に達していましたが、飯野山登山口(飯野町ルート)には、多くの登山者の姿がありました。

その時の様子とともに、丸亀市のシンボルとして、また新日本百名山の一つとして愛される飯野山を紹介していきたいと思います。

遠くから眺めるだけでも十分に「けっこい(美しい)」姿を誇っていますが、実は一歩足を踏み入れてこそ分かる、本当の魅力が飯野山には詰まっているのです。

はじめに:遠くから眺めるだけではもったいない、丸亀のシンボル

飯野山は、単なる地理的なランドマークではありません。この山には、登る人だけが味わえる「人の温もり」があります。

取材当日、厳しい暑さの中でも登山道では「おはようございます」という元気な挨拶が飛び交っていました。

すれ違いざまに「もう夏休みかい?」と子どもに向けた言葉が耳に入ってきました。合目ごとに設けられているベンチでは登ってきたばかりの人に席を譲ったり、居合わせた人たちの中で会話が弾んだりしています。

この交流こそが、飯野山を「世界一温かい山」と思わせる秘密なのです。

また、登山道には「一日一石運動」という、登山者自らが砕石を運び上げ、道を修復するユニークな取り組みも根付いています。

ただ消費される観光地ではなく、訪れる人が山を造る一員になれる。そんな「参加型」の登山体験ができることも、飯野山が愛され続ける大きな理由なのです。

自分も「山を造る」一員になれる?「一日一石運動」に挑戦

飯野山の本当の魅力は、ただ登るだけでなく、登山者自身がこの美しい山を守る活動に参加できるという点にあります。

飯野町ルートの起点となる「丸亀市野外活動センター」のすぐ近く、登山道入り口には小分けにされた砕石が袋に入れられて置かれています。

登山者が持ちやすく小分けにされた砕石が袋に入れられて置かれている様子

傍らには「登山道の荒れた場所へ土や石を運んでいただき、少しずつ修復できればと思います。登山者の皆様の「一日一石運動」へのご協力をお願いします。」という呼びかけの看板がありました。私もこの思いに応え、一袋を手に取り登山道へと踏み出しました。

登山道修復に使われている砕石と看板

山道のところどころには、オレンジ色の集積トレーが設置されています。持ち運んだ砕石は袋ごとこのトレーに投入する仕組みで、随時行われる登山道の修復作業に活用されているそうです。

標高422mの頂を目指しながら、未来の飯野山を造る一員になる。修復箇所を探しながら登る一歩、そして誰かのまいた砕石を見かけた瞬間に感じる喜びを嚙みしめながら登る一歩。この道のりは、飯野山への愛着をより一層深いものにしてくれました。

展望もいいけれど、『会話』を楽しむ道のりは格別

飯野山には、瀬戸内海や丸亀市街を一望できる素晴らしい絶景スポットが点在しますが、真夏の登山道を歩いて心に残ったのは、視界に広がる絶景以上に、道中ですれ違う人々との温かな語らいでした。

4合目からの展望

「日常」に溶け込む里山:市民の健康と交流を支える

らせん状に登る飯野町ルートは傾斜が緩やかで、初心者でも安心して歩けます。特に登山口から3合目付近までは道がなだらかで、ここを日課の散歩コースとする市民の姿が見られました。

三合目までの道のり

「3合目まで登って降りるのが丁度ええんや」と話してくれたのは、丸亀城近くから週4回通う女性や年配の男性グループ。無理のない範囲で汗を流し、3合目までのコースをルーティンとして体力づくりに励まれていました。

一方で、軽い足取りで私を追い抜いていった若い女性は、トレーニングのために一日に何往復もしているとのこと。市民にとってこの山は、穏やかな散歩道であると同時に、心身を鍛える活動の場でもありました。

「非日常」の讃岐富士:旅人を魅了する美しいシルエット

一方で、どこから見ても美しい円錐形のシルエットは、市外から訪れる人にとっての憧れの対象です。

香川県観光協会公式サイト – うどん県旅ネットより

「久しぶりに登りに来た」と話してくれたのは、千葉から帰省中の若い男性。地元のシンボル「讃岐富士」は、故郷に戻った実感を最も強くさせてくれる場所なのかもしれません。

頂上へつながる最後の登山道

奈良から訪れた女性は、「高速道路から見えるあの綺麗な山は何だろう」とずっと気になっていたそうです。遠くから眺めるだけだった山を実際に踏みしめる喜びが、その表情から伝わってきました。

こうした多様な背景を持つ人々との会話のおかげで、足取りは終始軽く感じられました。ここには、訪れる人を包み込むような「山の温もり」が確かに存在しています。

頑張った自分へのご褒美と、手元に残る「登頂の証」

飯野山には、山頂からの景色や登山道での会話以外にも、登山の最中や下山後に待っている小さなお楽しみがあります。登山の目的が人それぞれであるように、自分だけのご褒美を見つけて、登山タイムをより有意義にしてみませんか?

出会えたらラッキー!登りの疲れを癒すひととき

飯野山の登山道(特に飯野町ルート)には、古くから複数の猫たちが暮らしており、登山者の間では「猫ボーナス」と呼ばれ親しまれています。

取材当日、幸運にも4匹の猫たちに出会うことができました。どの猫もとても人慣れしており、登山者に寄り添うように歩いたり、木陰で涼んだりする姿を見せてくれます。

2026年7月18日の登山の途中で出会った、のんびり寛ぐ猫たち

カメラを向けても逃げることなく、のんびりと寛ぐ猫たちの姿を撮影するのも登山の楽しみの一つです。

日付を刻む、「登頂記念カード」をゲット!

無事に下山したら、ぜひ立ち寄ってほしいのが登山口にある「丸亀市野外活動センター」です。ここでは、旅の思い出にぴったりの「讃岐富士登頂記念カード」が用意されています。

登山口にある丸亀市野外活動センター

讃岐富士登頂記念カードは登山パンフレットと一緒に置かれており、自分で日付印を押すセルフ方式です。その場で「2026年7月18日」とスタンプを押すと、暑い中を歩き抜いた自分だけの特別な記録となりました。

野外活動センターでもらえるパンフレットと、日付印を押した登頂記念カード

また、野外活動センターには、手入れの行き届いたきれいな水洗トイレ(和式・洋式あり)が完備されています。入り口前には自動販売機も設置されていました。

野外活動センターの隣にあるトイレ

飯野山(飯野町ルート)へのアクセス・基本情報

飯野町ルートは、丸亀市野外活動センターを起点とする最もメジャーで整備された登山道です。らせん状(時計回り)にゆったりと登るため傾斜が極めて緩やかで、階段も少なく、小さなお子様からお年寄りまで安心して歩けるのが特徴です。

アクセス

登山口の拠点となる「丸亀市野外活動センター」の地図は以下より確認できます。

  • マイカー: 高松自動車道「坂出IC」から国道11号線を丸亀方面へ約5km(約10分)。
  • コミュニティバス: JR丸亀駅からコミュニティバス(飯野・中津線)で「飯野山登山口」下車、徒歩約20分。
    • ※バス停から野外活動センターまでは急な上り坂が続きます。便数が限られるため事前の時刻表確認を推奨します。

基本情報

項目内容
拠点施設丸亀市野外活動センター
往復所要時間約120分(片道:健脚者30分、初心者・家族連れ60分)
難易度★☆☆☆(初級・入門編)
駐車場弥生の広場(無料・約50〜100台駐車可能)
付帯設備水洗トイレ(センター横)、自動販売機
特記事項登頂記念カードの配布、猫との遭遇率が高い

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